第9章 リンクする思い出
「…っ!!!、」
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
柊羽は最近見なくなっていたあの悪夢に魘され、飛び起きた。
これを見る時は大体心の均衡が崩れている時で、そりゃあんなもの見たらな…と思い出したらまた吐き気に襲われかけた。
「てか今何時…げっ」
時間を確かめようとスマホのボタンを押すと、時間よりも先に「不在着信 新一 8件」という恐ろしい通知が目に入った。
折り返さないとまた怒られる…と思い操作していたら、9回目のコールがなり咄嗟に通話ボタンを押す柊羽。
「オメーはなんでいつもこういう時に電話出ねーんだよ!!」
まるでスマホから本人が出てくるんじゃないかという勢いだ。
そしてそれを予想してスマホを耳に当てなかった自分を褒めたい。
なんてくだらないことを考えているとまた怒られそうだと、すぐに自重した。
「寝てました…」
「はぁ…寝れたんなら、いいけどよ…」
急ブレーキをかけたかのように猛追をやめた新一に、夢のことは言わないでおくことにした。でも起きてすぐに気の置ける誰かとこうして話すことが出来たのは正直助かったので、心の中ではお礼を言っておいた。
「心配かけてごめん。事件は解決したの?」
「まぁな。」
なんでもあの男は自殺ではなくあそこにいた女の人に殺されたらしい。新一は得意げにトリックを教えてくれたがよく分からなかったことは内緒。そしたら今度はその女の人に誘拐され、いやされた振りをして、発端となった別の事件を解決したんだとか。なぜか最終的にはカーチェイスが始まり、コナンや犯人が乗った車と安室の運転する車が激突し、幕を閉じたらしい。
「透さんは、無事?」
「あぁ、激突っつーか、犯人の車を止めるために自分から当たりに来たんだ」
「え…」
一瞬、時が止まったような感覚に陥った。
「大丈夫、怪我はしてなかったよ。にしても本当何者なんだあの人?敵にはまわしたくねぇなー。柊羽姉なんか知らないのか?」
新一の言葉は、途中から頭には入ってこなかった。
なんで私の周りの人達は、こうも自己犠牲精神が強いのだろうか。
「ごめん新一、私透さんに電話しなきゃ。」
「え、どうした急に」
「教えてくれてありがとう、おやすみ。」
「あ、お、おい!」
制止の声はわざと聞こえないふりをした。