第7章 偽装工作
(昨日は事務所に来れなくなったとは聞いたけどよ…)
「とりあえず2人には後でゆっくり尋問するとして、今はそんなことより犯人をさっさと捕まえましょう!」
「そうです!私も手伝います!」
と、蘭は空手の構えをしてみせた。
すると漸く口を開いたコナン。
「この写真、犯人が撮ったってことだよね?わざわざポアロにまで届けるなんて、きっと犯人は今まで安室の兄ちゃんのことをただの店員だと思ってたのに違ったから怒りをぶつけてきたんじゃないのかなぁ?」
柊羽はコナンから禍々しいオーラが感じられて、あとでする言い訳を必死に考えていた。
安室はあえて気にせず続けた。
「かもしれませんね。僕の予想だと、そろそろ…」
ガシャン!!!
ポアロの扉が荒々しく開き、一人の男が飛び込んできて安室に掴みかかった。
「安室さん!」
「そろそろ来る頃だと思っていましたよ、犯人さん?」
余裕の笑みを浮かべながら相手の腕を掴むと、男はチッと舌打ちをした。
「梓さん、お店、臨時休業にしておきますか。」
「そ、そうですね…」
こんな時でも周りへの配慮を忘れず、適切な判断をする安室。そして梓はドアにかかる表示を『close』にした。
男はそんなやりとりにもまた苛立ちが募っていった。
「おい、なめてんのか?」
「ゆっくりお話した方がいいかな、と。お客様が来たら落ち着かないでしょう?」
「俺もお客様だ」
「それはそうですね。失礼しました。では貸切ということで…座りますか?」
「ふざけんな!!!!」
その場にいる誰もが、もうそれ以上犯人を逆撫でしないでくれ…と思っていた。
「柊羽が怖がっていますよ」
「!!」
柊羽の名前を出され、あからさまに動揺する男。
そして柊羽は柊羽で、突然呼び捨てにされたことに不覚にもドキッとしてしまう。
「つ、付き合っている、のか…?」
男は手を離し、恐る恐る柊羽の方を振り返りながら聞いた。
「えっと、はい…」
「なんで!!!!」
いきなり声を張り上げられ、柊羽はビクッとした。怖い。逃げ出したい。そんな気持ちに駆られたが、それではまた前に進めない。安室の気遣いを無駄にしてしまう…と、歯を食いしばった。