第7章 偽装工作
カランカラン_____
二人がポアロのドアを開けると、そこには三者三様の表情をした面々が。
こちらを指さし、驚いた顔でパクパクと口を動かす梓。
両手を頬に当て、顔を赤らめる蘭。
そして、ジト目でいかにも何か言いたげなコナン。
何事かと思ったが、柊羽はとりあえず挨拶をすることにした。
「え、えと……おはよう?」
「おはようございます。みんな揃ってどうされたんです?」
「自分の胸に聞いてみてくださいよ!」
「はい?」
梓が何故こんなにも興奮しているのか、全く検討がつかなかった。
頭にクエスチョンマークを浮かべる2人に痺れを切らし、まるで刑事の取調べのようにあるものを突き出してきた。
「!!!」
安室は至って冷静な素振りを見せたが、柊羽は思わずそれを梓から奪い取った。
「な、な、な、なんで!」
「朝出勤したらポストに入ってたんです!これ、どういうことですか!?」
それは、柊羽と安室がキスをしている写真だった。
いや、正しくはキスをしているかのように見える写真だが。
「いや、これは、あの…」
と、分かりやすく動揺する柊羽の肩を抱き寄せ、安室が言い放った。
「ご報告が遅れてすみません。僕たち、付き合うことになったんです。ね?柊羽さん」
「は?」
「「えぇぇぇっ!」」
柊羽の疑問は女子二人の悲鳴のような声に掻き消された。
その隙に安室はこそっと「いいから話を合わせて」と柊羽に耳打ちをする。
柊羽はコクンと頷きながらも、きっと納得していないであろう従兄弟をチラッと見やると、やはりまだジト目でこちらを睨んでいた。
「送り主は柊羽さんのストーカーで十中八九間違いないでしょうね」
「す、ストーカー!?柊羽さん、私色々と聞いてません!!」
「ご、ごめん!ハッキリ分かったのが昨日で…」
「昨日の帰りに後をつけられていたので、そのまま僕の家にいてもらったんです」
「なっ…」
コナンが初めて反応した。
2人が付き合っているというのはフェイクだろうと推理したコナンだったが、その事実は意外だった。昨日はてっきり、柊羽の自宅に送ってくれたのだと思っていた。