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透明な約束【名探偵コナン/安室】

第6章 明らかになる過去


自分を待っていたと思えば申し訳なさそうにする柊羽の姿が脳裏に浮かび、先に食べておくか、と席に着くとスマホが着信を告げる。

「風見か。早かったな。」

『はっ。坂巻柊羽について調べてみましたが、これといって取り上げるような内容は…』

発信元の男は、情報がなかったことが申し訳ないと思ったのか言いづらそうに告げた。

「そうか、助かった。では引き続き任務を頼む。」

『えっ、いいんですか』

「あぁ、十分だ」

『?…では、失礼します。』

確かに、調べろと言われて何も出てこなかったのだから腑に落ちないだろう。

だがその結果は安室にとってはとても大きな意味を持っていた。

(ってことは、さっきのは白だな)

安室は予想以上にホッとしている自分に気付かないふりをした。






柊羽が目覚めたのはそれから少し後で、微睡みながら食器がカチャカチャとぶつかる音を聞いていた。

(ここ…どこ?ていうかなんで私…)

柊羽は寝起きの頭をフル回転させて、意識がなくなる前のことをぐるぐると思い出していた。

(そうだ、安室さんと歩いてる時にまたフラバして、それで…)

そこまでたどり着き、過呼吸を治めるために口で…と思い出し、ガバッと上体を起こした。




「!…柊羽さん、良かった。目が覚めて」

「あ!!!むろ、さん…」

「すみませんでした」

「え、あ、いや、でもあれはその…助けてくれた…訳ですし」

「勿論それもですが…手、引かれるのが苦手だったのかなと思いまして、貴方を守ると約束したはずが怖がらせてしまいました。本当にごめんなさい。」




こんなに真っ直ぐ謝られて、許さない人がいるんだろうかと柊羽は思った。




「気にしないでください!正直自分でも、何が引き金でパニックになるか分からなくて…でも、それは今まで男性と関わらないように逃げてきた自分のせいです。安室さんはその…ストーカー、から守ろうとしてくれたの分かってます。だから、謝らないで…?」

「ふぅ…僕の負けです。すごいな、柊羽さんは」

安室は降参したかのように両手を軽く上げて呟いた。
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