第5章 二人の探偵
相変わらず読めない男だ…と思っていると今度はコナンが言った。
「柊羽姉ちゃん、今回は甘えさせてもらったら?僕が行くより安室の兄ちゃんと行った方が牽制になると思うし」
ほらね?と言わんばかりの完璧な笑顔で見つめてくる安室に降参したのは柊羽の方だった。
「…分かりました。じゃあ、お願いします。」
「はい。お話が終わったらポアロに来てくださいね。」
柊羽はお辞儀をし、コナンと共に毛利探偵事務所へ向かった。
事務所にはちょうど蘭が帰ってきたところで、事情を話すとやはり彼女もとても心配してくれて快くOKを出してくれた。
「ごめんね、迷惑かけて」
「迷惑だなんて!頼ってくれて嬉しいです。久しぶりに柊羽さんと過ごせるのも楽しみ!」
「あはは、それは私もちょっと楽しみ」
と、2人は笑い合った。
「じゃあ、一旦服とか取りに家に行ってくるね」
「危ないから一緒に行きますよ?」
「ありがとう。でも安室さんが待ってくれてるから今日は大丈夫!」
「え…」
「ん??」
「…柊羽さん、今夜たっぷり聞かせてもらいますね!」
何か勘違いしている気がするが、まぁ今夜弁明すればいいか、と柊羽は事務所を後にした。
階段を降りると、そこには既に安室の姿がある。
「すみません!お待たせしました」
「いえ。ついさっき終わったところです。じゃあ行きましょうか。案内、お願いします。」
「はい、よろしくお願いします」
2人は並んで歩き出した。
「というか、安室さん何か予定あったんじゃ?」
「いえ、特には。気にしないでください!こんなにゆっくり街を歩くことなんて最近なかったので、逆に感謝しています」
蘭にしろ安室にしろ、気を遣わせないようにするのが上手だなと柊羽は感心していた。
「探偵業、結構忙しいんですか?」
「そうですね、それなりに。一件依頼が入ると数週間かかるものがほとんどなので」
「はぁ、やっぱり凄いです。いつも涼しい顔してるからつい忘れちゃいますけど」
「ふふ、なんせ僕、サイボーグですから」
「…根に持つタイプですね」
それは、今の状況を忘れてしまうくらい、穏やかな時間だった。