第5章 二人の探偵
「お待ちどうさまです。コナンくんと話して、少しは元気が出たようですね?」
安室は流れるような手つきでサンドイッチをテーブルに置いた。
「お陰様で。ちょっと気が紛れました。サンドイッチいただきます」
「召し上がれ」
「…ん~!やっぱり美味しい!」
「ふふっ、その顔が見れて僕も安心しました」
「え…」
どんな顔してたんだ自分…と、柊羽は突然恥ずかしくなった。
カランカラン____
そこへ、遅番の梓がやってきた。
「安室さんお疲れ様です!___あ!柊羽さん!コナンくん!こんにちは…って柊羽さんなんか顔赤くないですか!?体調悪いんですか?あ!!それとも安室さんになんかされました!?」
嵐のように現れた梓に、その場にいた3人は反応することも忘れ目を丸くした。柊羽ははっとして安室の濡れ衣を晴らそうと口を開く。
「ちょっと今日走ってきたから体が火照っちゃって」
「あー!それで今日はスポーティなんですね!」
「そうそう。体力つけないとって思ってね」
「いいですね!私もやろうかなぁ…あ!いけない!準備してきます!」
梓は奥のスタッフルームへ入っていった。
「ほんと、元気で可愛いなぁ」
「梓さんには言わなくてよかったの?」
「迷ったけど、すっごく心配しちゃいそうだったから…」
「確かに、賢明な判断かもしれませんねぇ」
「まぁ、隠してるのがバレた時が怖いけどね…」
コナンの最後の一言に、3人で思わず苦笑いをした。
段々とほかの客も増え始めたので安室は仕事に戻り、コナンと柊羽は2人で他愛もな話をしていると、あっという間に午後になった。
「そろそろかな?事務所行ってみようか。」
と、コナンが切り出す。
「そだね」
立ち上がる2人に気づき、安室が声をかける。
「あ、柊羽さん、必要なもの家に取りに行かれます?僕今日はもうすぐ上がりなので、ご迷惑でなければご一緒しますよ。」
柊羽は安室の申し出に驚き、少し反応が遅れてしまった。
「昼間、だし…大丈夫かなと、思ってたんですけど…」
「そんな不安な顔の女性を1人で歩かせるほど、狭い心はしていないつもりです」
そんな安室の真剣な眼差しに、思わずドキッとした。