第5章 二人の探偵
「すみません、取り乱しちゃって。コナンくんも手、痛かったでしょう?」
そう言いながら、柊羽はズレたキャップを被り直した。
「ボクは大丈夫だよ。落ち着いたみたいで良かった。」
「ですね。柊羽さんは被害者なんですから、謝る必要はありませんよ。」
「二人とも、ありがとう。」
「それよりも、今後の対策ですが…」
「家に1人は不安でしょ?犯人が捕まるまで、蘭姉ちゃんの部屋に寝泊まりできるかお願いしてみない?」
「僕も賛成です。階段を降りればすぐポアロですし、犯人も接触しづらいでしょう。」
「えと…いいの、かな?」
「蘭姉ちゃんなら絶対断らないと思うよ!今日は午前中買い物に行くって言ってたから、午後にでも聞いてみようよ。」
「じゃあそれまではここでゆっくりしていてください。そのうち梓さんも来ますし。今日は遅番なんです。」
柊羽はいい歳して色んな人に迷惑かけすぎなのではと少し気が重いところもあったが、正直コナンの言う通り家にいるのが怖かったので2人の提案に乗ることにした。
「そうだ!お腹は空いていませんか?サンドイッチでもどうです?」
「食べたいです」
「ふふっ、少々お待ちください」
こんなことになってもお腹は空いていたので柊羽は迷わず答えた。
安室がカウンターの向こうで作業に取り掛かると、コナンが切り出した。
「なぁ柊羽姉、話変わるけど…ポアロで会う前から安室さんのこと知ってたのか?」
「いや、会ったことないと思うよ」
「初めて会った時驚いてたのは?」
「あぁあれは……笑わない?」
「多分」
「…夢によく出てくる声にそっくりで」
「夢ぇ?」
「でも、声は似てるんだけど、なんか違うんだよねぇ」
「なんだそれ」
「口調というか雰囲気というか…私もよくわかんないよ。なんでその声が夢に出てくるのかもね」
「ふーん」
「ちょっと、聞いたんなら興味持ってよね」
「悪ぃ悪ぃ、まさか夢物語とは思ってなくてよ」
「なんか馬鹿にされてる気がする」
そうこうしているうちにサンドイッチが出来たようで、そこで安室がやって来た。