第5章 二人の探偵
「へぇ、レシートですか」
「そうなんだ。柊羽姉ちゃん、持ってきてくれた?」
「もちろん!はい。」
と、昨日話したレシートをテーブルに広げた。
安室は数秒考えると、何かに気づいたようで
「これは…」
「さすがだね、安室の兄ちゃんも分かったみたいだ」
「あぁ、でもこれが間違いじゃないとは言いきれないな。柊羽さん、他になにか気になることはありませんでしたか?」
「えっ、やっぱり安室さんも聞くの?」
「?」
「昨日、コナンくんに話した時も同じこと聞かれたよ。あ、でもね、今朝思い出したんだけど、ちょっと前に直接レシートを渡されたことがあって…」
「えっ!?それって誰に?」
「分かんない。声で男の人だって分かったから顔が見れなくて…でも、レシートを受け取った時に見えた手はそんなに歳とってなさそうだったかな?」
柊羽はもう消えかかっていた記憶を必死に思い出していた。
「購入品は、覚えていますか?」
「うーん…たしか、カイワレ大根とワカメと…ネギもあったかな?あと2、3個あったような気がするんだけど…」
「それって…『い』から始まるものじゃない?」
突然、険しい顔でコナンが言った。
「あ!そうそう!インゲンと…イカフライ!!」
「やっぱり…」
「ねぇ、なんなのこれ?何で『い』って分かったの?もう教えてくれてもいいでしょ!」
安室とコナンは、どうしようか…と腕を組み、目を合わせた。
だがここまで来て黙っている訳にもいかないと思ったのか、コナンが口を開く。
「縦読みだよ」
「縦読み?」
「うん。レシートの品名、頭文字だけ上から読んでみて」
「キ、ズ、イ、テ?」
「『ズ』はきっと『ヅ』で始まるものがなかったからそれにしたんだろうね」
「そしたらこっちは…スキダヨ?」
「そう。で、前に渡されたってヤツは恐らく…カワイイネ。それが直接渡されたってことは、柊羽姉ちゃん宛で間違いないだろうね」
「じゃ、じゃあ、これって…」
さすがの柊羽も答えにはたどり着いていたが、自分で口にすることを躊躇した。