第4章 歩み寄る影
「明日ちゃんと教えっから。で?ポアロには行くのか?」
「行くけど…」
「じゃあ決まりな。あ、それから、ポアロに来るのは早くても遅くてもいいからいつもとは違う時間で。家出る時は必ず俺に連絡してくれ。」
「は、はい」
"必ず"という部分をかなり強調され、柊羽はその勢いに押されたままほぼ反射的に返事をする。
「あ、あと…」
「まだあるの?」
「これで最後。服装はなるべくボーイッシュで。もしあるなら帽子も被ってきてくれ。」
「はあ」
「んだよその間の抜けた返事は?」
「愛されてるなーと」
「ばっ…!?」
幼い頃から新一を知っている柊羽は、どうすればこの男が動揺するかをよく知っていた。
だから可愛い幼なじみともなかなか進展しないんだろうな、というお節介は置いといて…
でも、この言葉の半分は本心だ。
過保護ともとれる新一の言葉は、身内としての愛情があっての事だと理解している。
残りの半分は、答えを先延ばしにされた腹いせだったが。
「じゃあ明日ね、新ちゃん」
「その呼び方やめろ」
「ふふっ、おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
不機嫌かと思えば、恋人に言うかのような優しい声になる新一。
もとい、声はもちろんコナンだが
(こういうこと、無意識でやるからな…蘭ちゃんが不憫だわ)
そんな事には慣れっこの柊羽は、自分のことよりも幼すぎる恋愛をし続けている2人のことを心配しながら眠りについた。