第16章 純黒の悪夢
コナンは博士に至急記憶喪失の女性が送っていたメールの送信先の解析を頼むと言い残し部屋を飛び出した。
瞬間、腕を何者かに掴まれる。
「灰原…」
「危険よ。分かってるの?」
「ああ…でもおめぇも言ってたろ?運命から逃げたくねぇんだよ、俺も。それに柊羽姉が捕まってるかもしれないのにじっとしてる訳には…」
「工藤くん…頼んだわよ、柊羽さんのこと。」
「あたりめーだ!」
灰原が自分を心配する気持ちも痛いほどわかったが、彼女もなんだかんだ柊羽とはウマが合う。
それ以上に柊羽のことを心配してくれているようだ。
ちゃんと連れて帰る、そう誓って再び走り出した。
(まずは…あの人だな)
そう思いコナンが選んだ人物は。
「もしもし赤井さん!?」
『何があった?』
まだ何も言っていないのだが、何かあったんだろうと察してくれる洞察力は流石だとコナンは感心していた。
「柊羽姉ちゃんが、組織に捕まったかもしれないんだ!」
『成程な…バーボンとキールも恐らく拘束されている』
「って事は…」
『ああ、もしそれが本当なら口を割らせるための人質だろう』
「やっぱり…!」
『落ち着けコナン君。だとすればすぐに命に関わる何かはない』
「うん…彼らの疑いを晴らすように今現場にあったスマホの復元をしてるんだ!なんとか時間を稼げれば…」
『流石だな。時間稼ぎなら俺がやろう、ちょうど今向かっているところだ。』
「良かった!柊羽姉ちゃん、頼んでいい?」
「ああ。約束したからな。」
取り乱すどころか、口元に笑みを浮かべてすらいそうな赤井の口調に不思議とコナンも冷静さを取り戻しつつあった。
(赤井さんがいてくれて助かったぜ…柊羽姉は赤井さんがいればきっと大丈夫だ。俺はNOCリストを守らねぇと!)