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透明な約束【名探偵コナン/安室】

第14章 緋色の真実


蘭には博士の家に泊まるという連絡をし、コナンは柊羽の部屋にいた。

(傷はなかったかもしれねぇけど、あんな人気のない場所、そして俺たちが駆けつける直前にあの路地から出てきた男…
それに気を失ったところからして…くそっ!!)

行き場のない怒りから、拳をぎゅっと握りしめた。

(にしても、なんでポアロに行かなかったんだ?安室さんも連絡つかなかったし何か関係が?)



「しんちゃ…」

「柊羽っ!?」



うわ言のように自分の名を呼び身を捩った柊羽に、目を覚ましたかと思い駆け寄ったが、どうやら寝言だったらしい。

安心できるかと思い手を握れば、僅かに握り返されるそれ。



(なんでオメーばっかりこんな目に…)



そう思って寝顔を見つめていると、サイドテーブルに置いたスマホが光った。



(電話…?安室さん!)



それは柊羽のスマホだったが、渦中の人物からの着信にコナンは迷わず通話ボタンをタップした。


『柊羽っ!?大丈夫だったか!?』


よほど焦っているのか、間髪入れずに安室が発した。
その口調はいつもの彼とは似つかずコナンは眉をひそめた。


「ごめん安室さん、ボクだよ。コナン。」

『コナンくん…?そうか、君が…。柊羽は無事かい?』

「うーん…多分ね。」

『多分?』

「うん、怪我はしてないけど…心の傷は起きてみないと…」

『…っ、そう、だね。ついていてくれてありがとう。』

「…安室さん、ボク…信じてるからね。」


無意識に、段々と声のトーンが低くなっていた。


『柊羽に危害を与えるつもりは無い。僕から今言えるのはそれだけだよ。すまないが、柊羽のこともう少し頼んでもいいかい?今日はまだやることがあってね。』

「…分かった。」

『ありがとう。それじゃ。』


恐らく、安室の柊羽に対する想いに偽りはないだろうと思う。
だが…


(俺の推理が正しければ安室さんは恐らく…公安のスパイ。
だとすれば、安室さんが良くても柊羽にとってはかなり辛い立場になるだろう。
比べるつもりはねぇが…爆処や捜査一課とはまた訳が違う。
耐えられるのか?ましてや今の…この状況で。)



コナンは複雑な表情で、柊羽をただ見つめていた。
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