第14章 緋色の真実

時を同じくして、ポアロでは柊羽と梓が話をしていた。
…もとい、梓が柊羽に質問攻めをしていた。



「聞きましたよ～柊羽さん」

「な、なに？」



この感じはロクなことがないと柊羽は瞬時に察し身構える。



「デート！したんですよね？」

「う、うん。透さんが言ったの？」

「言ったというか吐かせました！デート翌日の安室さん幸せオーラ隠しきれてなくて！あの安室さんがですよ？きっとすっごく嬉しかったんですね！」




それは…嬉しい。
後味はいいとは言えなかったけれど、それ以外は本当に楽しいデートだった。




「写真撮ってないんですか！？」

「あ、そういえば撮ってないや…」

「えー残念…」




たしかに、あの着物姿は残しておくべきだったと柊羽は後悔した。



「初デートってホントですか？」

「うん、そうだけど…」

「安室さんって意外と奥手なのかなぁ？」

「さあ…探偵業も忙しいみたいだから、単に時間が取れないだけのような気もするけど」

「柊羽さん………健気で、大人～！！安室さんには勿体ない気がしてきましたよ！」

「いや、そんなことないよ。寧ろ私の方が相応しいかどうか」

「そして謙虚！も～もっと甘えていいと思いますよ！」



自分は十分すぎるくらい甘えさせてもらっているつもりだけれど。
ポアロに来れば会えるし、話したい時は電話ができる。
会う回数よりもその内容を重視するタイプなのかもしれないと柊羽は自己分析をしていた。



「柊羽さんに甘えられて嫌がる男なんていません！」

「さすがにそれは言いすぎ…ん？」



ヒートアップする梓をどうしようかと考えていると、スマホが震えた。
すぐ収まったということはメールだろうか。
通知を確認すると、送り主は新一のようだった。

(帰りに俺の自宅に寄ってくれ？また突然だな…)




「柊羽さん？大丈夫ですか？」

「あぁごめん、平気だよ」




無意識に眉間にシワでも寄っていたのか梓に心配されてしまった。
阿笠邸ではなく工藤邸に集合ということは、沖矢もいるということで。
つまり組織がらみだか安室がらみだかの話なんだろうなと憶測し、気分が沈みかけていた。