第13章 付かず離れず
「あ、ここ…」
「神社みたいですね」
メインストリートを抜け少し路地を歩くと鳥居に辿り着いた。
ここまで来て行かないという選択肢は勿論なく、2人は自然と足を踏み入れる。
神聖な雰囲気に、なんとなく、どちらともなく繋いだ手を解いた。
参道をゆっくりと歩く。
「なんかこういう場所って、不思議と背筋がピンとしますね」
「分かります。神様に見られているような感じですね」
「あ、意外。透さんは神様とか信じない方かと思ってました!」
「んー…信じてる、というよりも、こういう所に来るとあながち迷信でもないのかなという気にはなりますね」
「あーそれはなんか、分かるかも…」
「というか、さり気なく失礼なこと言いました?」
「ん?気のせいです!」
「神様の前で嘘をつくとバチが当たりますよ」
「う…信じない派のくせに…」
「何か?」
「いえ!参拝しましょ!」
そう言って石段を上る柊羽のあとを、安室も追いかけた。
安室が鐘を鳴らす頃には柊羽は既にお祈りの体勢に入っており、その顔は真剣そのもの。
その顔を一瞬見遣り、安室も参拝をした。
「柊羽さん、真剣でしたね」
「そりゃあ勿論!叶えてもらわないと困りますから」
「へぇ…とっても大事なお願いなんですね」
「…何をお願いしたか、聞かないんですか?」
「人に言うと叶わなくなるって言うでしょう?」
「やっぱり神様信じてるじゃないですか!」
先程から言葉の端にそれを感じて、柊羽はついそう口走ってしまった。
「僕が信じているというよりも、信じている柊羽さんを疑いたくない。といった方が正しいかな。」
「え?と…つまり?」
「ふふ」
なんだか回りくどくて、なんとか解読しようと頭をフル回転させていたが、結局また笑って誤魔化されてしまった。
(私を信じてくれてるってことかなぁ?)
という結論に至った。
かといって今更確かめるのもな…と思い、柊羽は神社に来たら必ずするあるものを探すことに意識を集中した。
「あ!あった」
「おみくじ、ですか?」
「はい!神社に来ると引きたくなりません?」
どれにしようかなぁ、と悩む柊羽の横顔を眺める時間がとても尊いもののように安室は感じていた。