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欲望ノ枷【R18】

第3章 散り、咲き乱れし華【R18】




雪音は顔を背けるべきであった。

段々と近くなる距離、近付いてくる兄の顔は僅かに父に似た優しくも端麗な顔立ち。
ただただ、兄のその顔に見惚れてしまっていた。
もしかしたらあの卑猥なる映画のワンシーンがそうさせたのかも知れない、けれど、それは煌には好都合であった。

近くなっていく距離がやがて、0になる。
唇同士が合わさり、角度を変える激しい接吻。
それは、雪音のぷっくりとした愛らしい唇の形を容易く変えてしまう。
唇の柔らかさを確認する様に、煌は雪音の唇をなぞる様に舌を這わした。

雪音は動けずに居た。
それは、兄妹での背徳的な行為への後ろめたさか、優しく穏やかであった兄の男としての一面への驚きか。
それとも、自らの兄へ向ける感情が男と女としての好意故なのか…雪音にはまだ理解出来なかった。


煌「雪音…嫌じゃないなら目、閉じてごらん?」


漸く唇が離れた。
口付けの最中、呼吸をするという事がまだ分からず息を止めていた雪音は、長めの吐息として吐き出した。
初々しく吐き出された吐息が煌の喉元に掛かる。
そっと雪音の頬に触れ、鼻先に口付けを落とす。
兄の言葉に、雪音は瞼を落としていく。

煌はニヤリと口角の端を吊り上げた。
そして、再び雪音の唇に自らの唇を重ねた。

口付けは激しさを増す。
唇を割り、煌の舌が雪音の口内に滑り込んだ。
煌の長めな舌が雪音の小さな舌を絡め取り、軽く咬んだり擽る様になぞったりを繰り返す。

煌が雪音の上顎に舌を這わすと、むず痒さの様な何かに頭の中が痺れる様な不可思議な感覚が襲う。
まだ知らぬ、その快感という感覚に雪音は体を震わせた。

煌の舌は雪音の歯の裏側をなぞり、そして再び雪音の舌を絡め取った。
雪音は、まるで発熱したかの様に頭がぼうっとし、瞳が潤み出す。
互いの唾液が熱を帯び、顔を上向ける雪音の喉奥へと流れ込む。
唇を塞がれ、その唾液を飲み下す他に選択肢は無かった。
雪音は、コク…と喉を鳴らして飲み下した。

コンコン。
不意に扉をノックする音が響く。


煌「何だ?」

陸「煌様、お客様が参られました…」


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