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欲望ノ枷【R18】

第3章 散り、咲き乱れし華【R18】




煌は思わず息を飲んだ。
白く、煌の手で覆っただけで隠れてしまいそうな細い首。
この項に吸い付き、口付けの花弁を散らしたらどれ程美しいだろうか。
雪音を計画への被験者にと決めてからというもの、煌の雪音を見る目は黒く淀んだ何かを溜め込んでいっているかの様に、時折鋭くなっている事に煌自身気付かずにいた。

不意に聞こえてきた女性の叫び声に、煌はテレビの画面へと目を向ける。
流れている映像を見れば、僅かに興奮の色を映していた瞳は一点を凝視し、頬が硬直した様に引き吊る。

映画の舞台はアメリカ。
一人の男がとある田舎町にやって来る所から、話は始まる。
その男は、絵に描いた様な優しく落ち着いた、人当たりの良い好青年。
しかし、男が来てから町ではよからぬ噂が立ち始める。

男の住む家の隣人の話では毎夜人が消える、という。
消えた人が何処に行ったのか、何故消えたのか、全てが謎に包まれていた。

唐突に、居なくなった人間の末路が描かれる。
ブロンドヘアの女子大生位の美女が悲鳴を上げ、何者かに刺し殺され、バラバラにされていた。
そして、何者かが座る椅子をよく見てみれば、複数人の腕で作られていたのだ。

煌が画面を見たのは、丁度このシーンが流れていた時だった。


煌「(雪音…まさか間違えたのか?)」


妹はもしかしたらディスクを間違えたのかも知れない。
今頃顔を青くしている事だろうと、雪音の横顔を体を僅かに屈め覗き込む。
しかし、雪音は目を輝かせながら、その凄惨な映像に魅入っていた。
まるで、このグロテスクな映像を待ち望んでいたかの様に。

見れば、腕は全て細くしなやかで、女性のものであるのだと見て取れた。
ふと、犯人であろう人物の手のアップが画面に映し出される。
左手に血で薄汚れた包帯を巻いた、骨ばった男の手。

町にやって来た青年の左手にも包帯が巻かれている事を、パッケージを見て煌は犯人を予測した。
きっとあの青年が犯人だ、と。

そして、一度映し出したグロテスクな映像を皮切りに、次々と被害者が切り刻まれる、血飛沫が飛び散る凄惨な映像が続く。

いつの間にか煌の目は、画面に釘付けとなってしまっていた。


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