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欲望ノ枷【R18】

第3章 散り、咲き乱れし華【R18】




玉子の黄身と卵白を分け、黄身に砂糖とバニラエッセンスを加え泡立て器で混ぜる雪音。
卵白を白くなるまで泡立ててから砂糖を加え、ツノが立つまで泡立てていく陸。

だんだんと黄身が濃い山吹色から色を淡く変え、泡立て器からとろりと落ちる位にまでなった。
ゆるく泡立てた生クリームの様で、玉子に砂糖を加え混ぜただけなそれを、雪音は美味しそうだと思った。


雪音「陸君、次はどうしたら良いのかな?」

陸「卵白と黄身を混ぜて、其処に振るった小麦粉を混ぜるようですよ」


そう言うと、手際よく小麦粉を振るい始める陸。
雪音は泡立てた卵黄にメレンゲを加え、泡を潰さぬ様に混ぜていく。
其処に振るった小麦粉を混ぜ、型に流し入れて熱したオーブンに入れた。

温かいオレンジ色の光に照らされ、ぐるぐると回転する生地の入ったケーキ型を見詰めながら、雪音は呟いた。


雪音「お兄様は、最近何か悩んでるのかな…?」

陸「何か、仰っていたんですか?」


執事といえど、陸は従兄弟であり、雪音の幼馴染み。
煌は陸には伝えていなかった。煌は雪音を想う陸の気持ちに気付いていた、だからこそ、邪魔される訳にはいかなかったのだ。

雪音の言葉に不思議そうに問う陸。すると、少し寂しそうに雪音は続ける。


雪音「時々、そう思うだけなの。私の思い過ごしなら良いのだけれど…」

陸「煌様は紫月家の御子息、加え要様の突然の御不幸で色んな物が一気に煌様の肩に背負わされる事になりましたから…」


何も知らぬ者が二人。二人はただ純粋に、煌の身を案じていた。

一方…荒れ果てた部屋の中で、煌は拳を握り締める…手のひらに血が滲む程。


焼けたスポンジを冷まし、泡立てた生クリームを陸が器用に塗っていく。そして、苺にブルーベリー、ラズベリーにクランベリーと様々なベリーを雪音が飾り付けた。


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