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欲望ノ枷【R18】

第2章 幕開け




煌はその様子に、只、冷めた視線だけを向けていた。
下らない、とでも言いたげに。
しかし、少年は少女達の肩を押し、体をゆっくりと離す。


飛鳥「ごめんね-?俺少し用事出来ちゃったみたい。遊ぶのは、また今度でOK?」


とても軽い口調であった。にも関わらず、少年の目は笑ってはいなかった。それはまるで何も言い返すな、そう警告しているかの様であった。
慣れている、とばかりに足早に立ち去って行く少女達。その後ろ姿を僅かに手を振って見送る少年。
そして、浮かべていた明るい笑顔を僅かに歪めて煌を見据える。


飛鳥「人払いしなきゃ駄目な話なんて、お兄さんってイケナイ人?」

煌「そういう君こそ、手慣れてそうで驚いたよ」


両者ともにクスクスと不敵に笑いつつの、探り合い。
その光景は、車内から様子を伺う野崎の目には、微笑ましくも不気味にも映った。


煌「奴隷、なんてものに興味はあるかい?」


一見、人当たりの良い好青年に映る事の多い煌。
少年もまた、煌の口から飛び出した意外過ぎる言葉に目を丸くしていた。
そして、少年は再び楽しげに笑うと首を傾けた。


飛鳥「奴隷か-、良いね…好きに出来る女の子とか、超欲しい」


クスッとおどけた様に笑う少年、それは自らの欲望とは違えど似通った点とも煌には思えた。
煌は一つ頷いて口を開いた。


煌「一人、可愛い被験者を見つけてね。君にその子を調教して貰いたいんだ」

飛鳥「良いよ」


口元に緩く握った拳を添える、煌のお決まりの仕草だ。僅かに首を傾ける煌に、飛鳥は平然と答える。
煌には願ったり叶ったりだった。この様な案件に二つ返事を返す人間は、大抵は馬鹿か変人と決まっている。
煌には少年が変人の方だとはっきり確信出来た。真面目に、純粋にこの計画を面白がる人間だ。

煌は思わず口元が緩むのを感じ、慌ててあの人当たりの良い笑みを貼り付けた。


煌「そうか、明日はお披露目会だからね。明日、君の元に迎えを送るから」

飛鳥「りょうかーい、お兄さんの言う可愛い子ってのがどんな子か…今から楽しみだよ」

煌「ふふ、楽しみにしておいて」


煌の言う迎え、という言葉に何の疑問も抱かずに無邪気に呟く少年。
クスクスと楽しげに笑うと、煌は片手をひらりと振り、車へと戻って行った。


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