第2章 USJ
「君はヒーローになれない」
やめて
「君みたいな弱虫は、ヒーローをするべきじゃないんだ」
やめてよ
「そもそも、ヒーロー向きの個性じゃないだろう」
私だって、そう思ってるんだから。
「ヒーロー、やめてもいいんだよ?」
ヒーローを・・・やめる・・・?
『・・・ん』
目を覚ますと、真っ白な天井が広がっていた。
「っ!夢翔ちゃん!目を覚まし!!痛ッ」
ベットから勢いよく起き上がろうとした出久は、足の痛みから表情をゆがめていた。
『いず、く』
「よかった。本当に。」
お互い、ベッドに寝たきりの状態で話をした。
『わたし・・・ひーろー、やめ、』
涙が出てきて、言葉が詰まる。息が苦しい。
「・・・夢翔ちゃん」
『わたし、ひーろーに、なれ、なれないッ』
「・・どうして」
『だって、い、いずく、みたいに、勇敢なこ、ころなんて、ないしっオールマイト、みたいに、みんなを助けられ、るような、そんな、個性も、ないッ・・だからッ』
「夢翔ちゃんは、ヒーローだったよ」
『・・・なにいって』
「水難で抗戦したとき、君の個性がなかったら、ヴィランに攻撃されてた。相澤先生が危ないと分かったとき、誰よりも早く助けに行っていた。」
『・・・。』
「僕ね、憧れの人に言われたことがあるんだ。
トップヒーローは学生時から逸話を残している。彼らの多くは話をこう語る。考えるよりも先に、体が動いていたって。
夢翔ちゃん、きみも、そうじゃないの?」
『・・・ッ』
声を出すこともなく涙が流れた。
「君は、ヒーローになれる。」
痛いほど突き刺さった。
心の奥まで。
『いずくっ』
「盛り上がってるとこ悪いんだけどねェ。もう治癒は終わりだよ。ほら。さっさと帰んな。」
ポイッと効果音がつきそうな程軽く治癒室から出された。
出久くんはまだ話があるとかで治癒室に残されていた。
・・・・。仕方ない。
教室へ帰ろう。
ーーーーーー
「・・・緑谷少年ッ・・・」
「は、ハイイ!!!」
笑いを抑えるため、震えるオールマイトと、恥ずかしそうに顔を赤くする出久が治癒室で話をしたのはまた別のお話。