第2章 USJ
急に、出久くん達の動きが止まった。
視線の先を合わせるようにしてみると、脳無の鋭い爪が、オールマイトに突き刺さっていた。
「・・・夢翔ちゃん。」
『?』
「ごめん。立って入り口までいける?」
『・・うん。多分、もう大丈夫だよ』
「・・?緑谷ちゃん?」
ふらり、出久くんは何かの意思に操られるように足を進めていた。
『・・・!出久くん!!!』
彼は、こんな抗戦を繰り広げるオールマイトの所へというの??
彼は、本当に
『待って!!』
ヒーローだ。
「夢翔ちゃん!!」
私も、貴方みたいなヒーローになりたかった。
勇敢で
「オールマイトオオオ!!」
「どけェ!!!邪魔だデク!!!!」
どんな敵にも立ち向かう。そんなヒーローに。
「オラア!!!」
勝己くんがどこからともなく現れて、ワープを地面にたたきつけた。
そして凍り出した地面に焦凍くんが来たことも分かった。
「オイてめえ。なんでんな怪我してやがる?」
『っえ!こ、これは、』
「足手まといだ。どっか行っとけや!!!!」
勝己くんにドンッと肩を押されて、後ずさりした。
何してるんだ。私。
さっき相澤先生の足手まといになったばかりじゃないか。
後ずさりした足で、そのまま入り口へ向かう。
どうか、
『みんなが、怪我しませんように。』
助けて。神様。
不安に押しつぶされそうだ。
使い物にならない右手を左手で握りしめた。
その再び巻き起こった爆風に、振り向きそうになる体を止めた。
だめ。不安になるだけ。見たらだめだ。