第1章 春
今日は入学式。僕は早々に高まる心臓を抑えながら
ヒーローの卵が集まる学校、雄英高校に足を運んでいた。
(どうしよう。。やっぱり緊張するな。。)
僕はこの数ヶ月、死に物狂いでオールマイトに試練を授かった。
それでも尚、まだ自信が浮かんでこない。僕に、この力を本当に使いこなせるのだろうか。
不安ばかりが募る。
「ボサっとしてんな。邪魔だくそデク!!!!」
なれた幼なじみの言葉が更に不安を募らせた。
「ごっ、ごめん!」と言って道を譲って数秒、ため息が零れた
『はぁ』
ん?
のは僕ではなく
『さっきの人、すごい怖かったね。大丈夫?』
そのため息は、隣から聞こえてきて、なんとも言えず舌を噛んで固まった。
『あれ?おーい。あれ?』
こ、この人、、僕に話しかけてる?!え?!僕?!こんなき、き、き、きれいなは人が、、!!!!!
『返事がない。ただの屍のようだ。』
「い、生きてる生きてる!!!ごめん!」
思わず生きてる!と訂正した。
久しぶりに女の子と会話した内容が生存確認だ。どうかしてる。
僕が覚えてる限りで、最後に女子とかわした言葉は
「これ、先生のところにお願い」
「あ、うん。」
という雑用を押し付けられたことが最後だった。
なんてことはどうでもいいんだ。
なんだ。生きてたのね。
なんて言ってクスクス笑う女性に目が離せなくなった。もう女子じゃないよ。女性だよ。