第3章 もう戻れない
「はいはい。長くは電話できないんでしょ?」
兄「あぁ。詳しいことはメールを見ろ」
「わかった。おやすみ。」
兄はおやすみの返事をせずに電話をきった。
兄のことだ。あの安室透……いや、バーボンに目をつけられているのは知っているのだろう。せっかく自分で作ったこの部屋を壊すことも考えないと。
「はぁ、とりあえず、データを移しておくか。」
USBメモリを取り出して再びパソコンの電源をいれる。
そして膨大な情報量をUSBメモリに移動させる。
「半日はかかるかな……。その間にお風呂入って寝よ。」
私は秘密基地の扉を閉めた。
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?「あらジン。よほどその子を組織に入れたくない様子ね。」
ジン「……。」
?「噂によればジンはその子の情報だけを信頼しているようじゃない。何か不安があればその子に連絡をとってるとか……。あぁ、そうそう。この間喫茶店で銀髪のロングで紫の瞳をして、右耳にジンと同じピアスをしていた子を見たわ。」
ジン「おしゃべりがすぎるぞベルモット。」
ベルモット「まぁ、別にどうこうしようってわけじゃないけど、あのお方が目をつけたみたいよ。危険に晒したくないなら手元に置いとくのが1番じゃない?」
クスクスと笑うベルモット。それをみて不機嫌になるジン。
ジン「チッ」
舌打ちをすれば例のアイツから電話がかかってきた。
空気を読んでか、ベルモットは車を降りていった。
ジン「気に入らねぇ。」
そう呟きながら電話相手に八つ当たりをした。
「もし「死にてぇのか。」すいませんでした。ごめんなさい。」
久しぶりに聞く例の子の声はジンの心を癒すには充分だった。
電話を終えるとウォッカが話しかけてきた。
ウォッカ「アニキ。」
ジン「黙って出せ。」
ウォッカは慌てて車を発進させる。後部座席にいるジンをバックミラーで確認すると今まで見たことない穏やかな表情のジンがいた。
ウォッカはジンの珍しい表情をみて少し得した気分になった。