第13章 君の知らないところで
ジンSide
案件が終わってからもバーボンからしつこく妹のことについて質問責めされた。
あの野郎のことだ。ほとんどのことは知っているのだろう。しかし、なぜ霧島がトランプに入ったかまでは知らないらしい。
バーボンがそれを知るのは時間の問題だろう。
バーボン「何も言わないということは肯定と受け取りますが?」
「勝手にしろ。」
組織のボスが霧島がトランプに入ったことを知れば消すように命令が下りるのは目に見えている。それまでに霧島をトランプから取り戻さなければならねぇ。
トランプの弱み。
それさえ知ることができれば…。
俺はバーボンに後処理を任せて、トランプの奴らが関わりそうな場所へ足を運ぶ。
今まで会ってきたトランプの一員は下っ端ばかりで、トランプの弱みどころか霧島の名前やクラブのクイーンという言葉さえ出てこない。
苛立ちが積み重なるばかり。
いつまでも霧島が安全という保障はどこにもない。
「チッ…。」
一つだけ何か手掛かりがあるとすれば、霧島とともに過ごしたあの場所。
俺が一番嫌いで憎いあの場所に行けば何かわかることがあるかもしれない。
行きたくない気持ちが強いが今はそんなことを言っている場合ではない。
明日にもで行ってみるか。今日のところは帰るとしよう。
バーボンが後をつけているからな。