第5章 見上げた先のものより...
彼女の赤いほほに、
はじめて触れた。
一瞬彼女の体が
びくっと震える。
自分からだきしめるなんて
大胆なことしたくせに
ただほっぺ触っただけで....(笑)
愛しくて、
たまらないんですよ。
なんでこんなに乱されてるのか
自分でもわかんないですよ。
「あの.....二宮、さん?」
彼女が小さく声をだした。
ずっと下向いて
黙ってましたね、俺(笑)
上目遣いで俺を見てくる
彼女はすげー可愛くて。
『.....ずるいんですけど』
「.....へっ...?」
抑えられない気持ちのまま
俺は彼女を力一杯だきしめる。
俺の体にすっぽり埋まる、
まだまだ小さな女。
29の男が高校生を
好きになるなんて、だめですね
今まで色んないい女
経験してきたはず
なんですけどね
でも、わかる気がする。
この出会いは、きっと
あるべきものだったんだって
俺が幸せにしてあげますよ
なーんて。
素直じゃない俺は
口になんか出せなくて
もう一度激しく唇を重ねる。
もどかしさを
唇でしか伝えられない。
この愛しさも、
唇から伝わりませんか?