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短編《テニスの王子様 R18》

第3章 ヘリオトロープ2 《切原赤也 R18》


「そう言えば俺、おっぱい触ってない」



それは天啓にも似た、唐突な気付きだった。



背後でジャッカルが盛大に吹き出した音がしたが今はそれどころではない。

部活の練習を終えて、むさ苦しい部室で着替えていた折、赤也はその事に唐突に気がついてしまった。

(え、あれ、何でだ?あの時はふにふにの太ももがすべすべで気持ちーと思って撫で回して興奮しちゃったけど、それってちょっと変態っぽくね?俺自覚無かったけど脚フェチ?女子的にそれってどうなんだ?)

「やべぇ、に変態とか思われてたらどうしよう…」

一つ年下の彼女、と教室の教壇に潜り込んでいかがわしい事をしてから1週間が経った。

あれから予定が合わず、顔を合わせていない。
夜寝る前に電話で言葉を交わす事もあるが、練習で疲れている赤也を気遣ってかあまり長話もせずに切られてしまう。

しかし、それらが拒絶を何重にもオブラートに包んだ行為だとしたら?

途端に赤也は不安に苛まれた。

赤也は居ても立ってもいられなくなり、ラケットバッグを引っ掴むと不安を拭うように部室から走り去った。


***

家に着くと着替えもそこそこに携帯へと手を伸ばす。
ベッドに正座をして、恐る恐る着信履歴の1番上、の番号へかける。

プルルル…

「もしもし、赤也くん?どうしました?いつもより早いですね」

数回のコールの後、いつもと変わらぬの声に赤也はホッと胸を撫で下ろした。

「あ、あぁ、何してっかなーと思って…」
「今日は家族の帰りが遅いので、私がご飯当番なんです!今ちょうど作ってるところで…んっ…んん!」

急に喘ぎにも似た色っぽい声が受話器を通して赤也の耳に刺さり、携帯を取り落としそうになって慌てた。

「あ、す、すみません、瓶の蓋が固くて…はぅ、ぅうんん!」

開きましたー!という呑気な声は残念ながら赤也の耳には届いていなかった。

脳裏に蘇るのはの痴態と嬌声、体温や息づかい。


「あれ?赤也くん?もしもーし?」
「なぁ、一つお願いがあンだけどさ―――――」


妙なスイッチの入ってしまった赤也からの思いもよらない「お願い」に今度はが肩で挟んでいた携帯を取り落とした。
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