第2章 夏菫《幸村精市 R18》
「――――――体力おばけ」
「ふふ、さんの方はもう少し体力をつけたほうが良さそうだね」
行為の後の重だるさで動けなくなってしまったは、幸村に抱きかかえられて寝室のベッドの上で丸まりながらブツクサと文句を並べている。
結局が解放されたのは、そろそろ日も暮れようかという夕暮れ時だった。
コインランドリーで布団でも洗いに行こうかと思っていたのに、また先延ばしになってしまったなぁとお気に入りのシーツの柄をぼんやりと見つめて、色々と深く考える事を放棄した。
「ところでさん、明日は日曜日だよ」
「それが何か?」
投げやりな返答なのは、言うまでもなく嫌な予感がするからで。
「今日は泊まっていってもいいよね?」
どこか甘えた様な声で、視線で、だけど拒否権は一切無いと言わんばかりの笑顔。泊まるだけでは済まない事は明らかだ。
「れ―――」
「練習なら明日の朝ここから行けば良い」
「お―――」
「親には連絡してあるよ」
「ご―――」
「ご飯は一緒に作ろう。俺はさんのずぼら飯も好きだよ」
全てを先回りされて、断る理由が一つ一つ潰されていく。だめだ、私の脳みそではこの綺麗だけどちょっと頑固で頭の切れる少年を打ち負かす事は出来ない。
「ずぼらで悪かったわね、卵かけご飯は世界一栄養があるわよ」
仕方がないので、ずぼらの真髄でも食らわせてやるか…と大人気なくくだらない意地を張ってしまうのだった。