第17章 愛の伝え方
元気にはなったものの、やる事が無い。与謝野さんの医務室に居ても邪魔になってしまう為、さて如何したものかと考えていた時だった。
「お姉さん、居る?」
「鏡花ちゃん!」
「元気になったって聞いたから……。お買い物行けるかなって」
わたしはにこりと微笑んだ。
「うん、行こうか!」
***
ショッピングモールにやって来た。鏡花ちゃんは「約束、買ってくる」と云って一人でトコトコと走って行った。
「気をつけてね」
「うん」
そう云って走り去る後ろ姿を見送りったのは十五分前の事。鏡花ちゃんは一向に戻って来なかった。
「……遅いわね……」
「迷ってる、とか?」
「有り得る。兎に角心配だし、探しに行きましょ」
見つけたらお互いの携帯に電話を入れる。その約束を交わしてわたし達は二手に別れて探しに出た。
鏡花ちゃんのお目当ては白虎の大きなぬいぐるみ。となるとそれなりに大手の雑貨店にいると見て探しているのだが、中々見つからない。一体何処まで行っているのかと思いながらわたしはとあるお店を覗いた。
するとその近くでモゾモゾと動く白い物体が見えた。そこから覗く手は小さな女の子の物。真逆と思いながら「鏡花ちゃん?」と声を掛けた。
「お、お姉さん……?」
「やっぱり鏡花ちゃんか。大丈夫?」
「大丈夫……持て……」
云い終わる前にどてっと転んだ。わたしは苦笑いを零し、鏡花ちゃんの抱えるぬいぐるみを取り上げた。
「持つよ。鏡花ちゃんには大きすぎたね」
「うぅ……」
ぬいぐるみは鏡花ちゃんの身長程あり、わたしも抱き抱えるのがやっとの大きさだ。これを一人で持とうとしていたのかと思うととても可愛らしい。
わたしはぬいぐるみを持ちながら何とか敦くんに電話を掛けた。
「もしもし敦くん? 鏡花ちゃん見つかったよ」
『本当ですか? 今何処に?』
「フードコート向かってる所。待ってるから来てくれるかな」
『判りました、直ぐ行きます!』