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徒然なるままに【文豪ストレイドッグス】

第13章 探偵社


 中也さんが部屋を出て行くと同時に、ふっと太宰さんが倒れた。

「太宰さん!?」
「栄養失調と睡眠不足、脱水症状だよ。アンタが居なくなってから殆ど飲まず食わず眠りもせず、でねェ」

 与謝野さんが扉に寄りかかりながらそう云った。何時の間に居たんだろう。

「今日の所は太宰は寝かせておきな。明日の朝にでも旨い物を食わせてやってくれ」
「は、はい」

 そう云われ、わたしと敦くん、鏡花ちゃんの三人は医務室を出た。パタンと扉が閉まり、わたし達は何となく三人で端に固まった。

「そうだ。仲直りした記念に今度お買い物行こうか?」
「! 行く……!」

 鏡花ちゃんが目を輝かせた。わたしはその反応が可愛くてつい笑みを零した。

「湯豆腐食べて、クレープ食べて、お買い物して遊ぼ?」
「湯豆腐……くれーぷ……お買い物……楽しみ」

 二人で盛り上がっていると、敦くんがしょんぼりとした顔になっていた。わたしはくすっと笑って敦くんの肩を叩いた。

「勿論、敦くんも行くのよ?」
「え、僕もですか!?」
「あら、厭?」
「厭じゃないですけど……僕お金持ってないですよ?」
「大丈夫よ、わたしが出すから」

 わたしもそんなにある訳じゃないけれど、まだ辛うじてお金は残っているし、仕事も見つかったから給料も入る。それに年下にお金を出させるのは趣味じゃない。

「何見よう、何食べよう、何買おう? ……ふふ、夢いっぱい」
「其れは善い事ね。うさぎのぬいぐるみ買おうか」
「うささん買う。……後、欲しい物あるの。良い?」
「なになに?」

 鏡花ちゃんが少し背伸びした。内緒話のようで、わたしは話しやすいように少し身を屈めた。

「……白虎のぬいぐるみ、買うの。抱きかかえるくらいの大きいやつ」
「もしかして敦くん用?」

 そう尋ねると、こくりと小さく頷いた。「何時もお世話になってるから。有難うって気持ち」なんていい子だ。思わずわたしは頭を撫でた。

「僕、蚊帳の外感が凄い……」
「敦くんはメイド服ね」
「何でですか! 着ませんよ!」
「むぅ。似合うと思ったのになぁ」
「絶対に厭です」

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