第2章 はじめまして×一次試験
「やぁ、可愛こちゃん。ここはお嬢ちゃんみたいな子が来るところじゃねーよ。お家に帰りな」
絡まれた。
…絶しとけば良かった、本当に。
無視。
「お嬢ちゃん、聞こえてる?」
お嬢ちゃんって歳じゃないんですけど。私、19歳。
「ねえってば!」
ヘタなナンパか。
話してるのも充分鬱陶しいけれど、
「触らないで」
挙げ句の果てに肩に手を伸ばしてきた男の手を容赦なく叩く。
「あぁん?」
げ。面倒なことになりそう。
「ぎゃあぁ〜〜っ」
再び私に伸ばされた手が、消えた。否、トランプで両腕切り落とされて、何かの念で隠された。
44番。念能力者か。お兄ちゃんと私だけじゃなかったんだね。
「気をつけなくちゃ♣︎人にぶつかったら謝らないとね♦︎」
さて、44番に視線が集まっている間に、私は絶でズラかろう。
「大丈夫だったかい、お嬢さ……♦︎いなくなっちゃった♠︎
んーー、青い果実、発見❤︎」
ゾクリ。
「何か今、寒気した…」
44番には近寄らないようにしよう。上のパイプにでも座っていよう。
にしても。誰、この人?
先ほど絶で私の隣に現れ、受験者を見下ろしているスーツのヒゲのおじさん。シルクハット被って杖持って、高いところから紅茶を入れてそうな人だ。
手に持っている変な顔の機械?がやたらアンバランスなことに突っ込むべきか否か。しかも目が動いてる。
ひらひらと手を振れば、会釈して返してくれた。
優しい人だ。…受験生にしてはナンバープレートが付いてないから試験官か。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ
喋った。
機械?の口が開いて大声で鳴いた。結構な大音量ですぐ隣にいた私の耳が痛い。
にしてもあの機械、鳴っているときはびっくりしたような顔なのに、止まって口閉じるといきなりマヌケな顔になるなぁ。
「ただ今をもって、受付け時間を終了いたします。では、これよりハンター試験を開始いたします」
視線が集中してる。試験官さんに穴が開きそうだ。絶してるから私に視線はこないけれど。
第一次試験、404名。全員参加。