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The World

第2章 はじめまして×一次試験



あれから。
『家族』に行ってきますを言って、飛行船と徒歩で試験会場に着いた、はずだが。

「ここ、本当に試験会場なの?」

見間違いでなければ、定食屋さんなんだけど。

「カタカタ」

首肯。
そうですか、ここですか。

「いらっしゃいませ!注文は?」

ほら、やっぱり定食屋さんだ。
お兄ちゃんはカタカタしか言えないから、一応、前もって教わった注文をする。

「ステーキ定食2人前」

ステーキの気分なのだろう。

「…焼き方は?」

ふむふむ。

「弱火でじっくり」

ミディアムくらいが私は好み。
おじさんに通された個室にはジュージューと音を立てるステーキ定食。
美味しそうだなぁ!
ガチャン、と扉が閉まって、

「カタカタ」

何か用?
んーー、ガルを出しといて?
もしかして、試験中意思疎通は念文字で行うの?凝めんどうなんだけど。

「わかった。『秘密の親友(シュガーフレンド)』」

私の足元にある影から浮かび出たのはどこもかしこも真っ黒なオオカミ。

「久しぶり、ガル。早速だけれど、もうちょっと小さくなってもらえない?」

今のガルの大きさは四つ足で立って天井に頭が届くくらい。本来よりはずっと小さいけれど、それでも窮屈だ。
軽く唸ったガルが瞬き1つ、私の身長くらいに縮んだ。

「ありがとう…着いたみたいだね」

扉がゆっくりと開き、そこには沢山の人、人、人。全員受験者なんだろう。

「300番…。覚えやすい」

お兄ちゃんことギタラクルが301番。
ごめん豆の人。ギタラクルの容貌にビビるのは仕方ない。
あれ?ガルにもビビってる?ガルは怖くないよー?
私に手出ししなければ。

「じゃ、ここから別行動ね。何かあったら呼んで」

「……カタ」

一応、了承。

「あっち行こう、ガル」

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