第1章 社会勉強×ハンター試験
「ちょっとまっておにいちゃん」
あれから、『家族』に行ってきますを言って、さて出かけようと思った私は、思わずお兄ちゃんの手を引っ張った。
動揺のあまり、とてもバカな話し方になっている気がするが、気にするべきはそこじゃない。
「カタカタカタ(何、アリス)」
お兄ちゃん、ではなく(お兄ちゃんとは認めない!)、お兄ちゃんが変装?したギタラクルの容姿に盛大にツッコミを入れたい。
顔中に刺さった鍼によって顔を変えているのだが、完全にホラーである。しかも変装?中はカタカタとしか喋れない。
キルアにバレたくないにしても、他のやり方はなかったのか。『なるべく側から離れるな』とか言いつつ、この容貌とは…。私、通常でも近寄りたくない。
「どうしてもその格好で行くなら、私、ガルと別行動する」
これは断じて譲れないことだ。
試験の間中、隣の人にビクビクしながら過ごすなどごめんだ。いつも通り手を繋いだり抱き上げられたりしたら…
「ぜっったい、ムリ!」
「カタカタカタ…」
大変不満そうである。
「文句言ってても内容わかんないから!どうしても必要な時は側に行くし、キルアにもゾルディックのこと言わないから!変装解くまで私の半径1メートル以内に近づかないで!」
「カタ、カタカタ…」
落ち込み方がすごくわかりやすい!けど、これに関しては徹底抗戦の構えである。
「……カタ」
何とか了承してもらえたようです。
「じゃ、行こっか、お兄ちゃん!」
「カタカタカタカタ!」
やっぱり離れて試験会場まで行こうかなぁ?
不気味。