第8章 〜想いよ、届け〜
なんでそんなに、念押しするのか
雪姫にはわからなかったが
『いえ、それもないと思いますよ
信長様も私と同じ気持ちかと。妹か娘を
思う感じだと思います。』の言葉に
家康は、言葉にらならない
喜びが込み上げていた。
天にも登るとは、こう言う時に
使う言葉かも知れないと思うほど
家康は、心の中で(//くっ〜//)と
喜びを噛み締めていた。
自分にとって、最大の障壁だと
思っていた雪姫の信長様に対する
思いが、恋心でなはないこと。
信長様にもそんな気がないこが
分かった今、心のモヤモヤは全て
吹き飛ばされ、台風一過の青空のように
晴れやかで、清々しい気持ちになった。
そう思ったら、嬉しさのあまり
ニヤニヤする自分が止められず
手の甲で口を押さえ俯き、雪姫に
悟られないよう必死だった。
(ダメだ、顔がどうしても緩む///)
『家康様?』と雪姫に言われ
このままだと、嬉しさのあまり
自分が暴走しかねないと
『コホン』と咳払いを一つして
『捻挫の処置は、終わった。まだ腫れが
酷いから、絶対歩かないでよ
じゃ、俺、忙しいからいくわ』と
若干、声が上ずった。
『分かりました。ありがとうございました。
改めまして、今日からお世話になりますが
宜しくお願い致します』と雪姫は
一礼した。
『あっ、うん、何かあれば、遠慮しないで
いいなよ』と顔を横に向け
ちらっとだけ雪姫を見て言うと
『ありがとうございます』と雪姫は
微笑んだ。
『///じゃあ///』と、家康は焦るように
雪姫の部屋を出たが、何かを伝え忘れ
てたかのように引き返してきた。
『忘れてた、あんた暫く動けないからね』
と言うと、襖を全開にした。
『まぁ、気分転換になるか、分かん
ないけど』と家康が襖から離れると
雪姫の目には、美しい中庭の風景が
飛び込んできた。
雪姫の顔が、パァっと明るくなった。
暫く、部屋に篭りきりになる雪姫の
為に、一番中庭が美しく見える
部屋を用意してくれていた。
家康を見上げ、『御心遣い、感謝
致します』と言って、満面の笑みを
家康に向ける。家康は、目を見開き
(////<ドクンッ>も、もう、限界・・・///)
『じっ、じゃ、とりあえず開けとくよ』
と逃げるように立ち去った。