第2章 〜突然の別れ〜
時は過ぎ竹千代は十二歳
桜奈 は十歳 となった。
桜奈は、まだあどけない
少女ながらも、栗色の真っ直ぐに
伸びた髪、栗色の大きな瞳とそれを
隠すかのような長い睫毛。
スッと通った高い鼻、笑みを
たたえるように、広角がキュッと
あがっている小さな口元。
成長して行くにつれ
大輪の花を咲かせるであう
予感を秘めた美しさがあった。
一方、竹千代も金色の
ふわりとした猫っ毛と
翡翠色に輝く瞳、それを
隠すように同じく長く
伸びた睫毛。
線のように細く高い鼻
やや薄い唇は、いつも真一文字
に結ばれ、滅多に笑みを見せる
ことはなかった。
それぞれ容姿端麗、眉目秀麗に
成長しつつある 二人。
そんな二人が今日は
碁盤を挟み、何やら難しい顔を
しながら真剣勝負をしていた。