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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第7章 〜それぞれの自覚〜


家康に抱きしめられている
温もりに、雪姫はだんだんと
放心状態からも解放されていった。

さっきまでのことを冷静に考えると
込み上げてくる恐怖で、ガクガクと
震え出していた。
同時に、家康の腕の中にいる
安心感で堪えていた涙がどっと
溢れだし止まらなくなった。
怖かった。本当に怖かった。

『ごめんなさい・・心配かけて
でも、どうしても・・栞さんを・・
守りたかった・・信長様の為に・・』
信長様の為にそう言った瞬間だけ
抱きしめる力が一瞬、強くなった
気がした。

(泣いてはダメ。泣いたら
嫌われてしまう)そう思うのに涙は
後から後から溢れてくる。

顔を手で覆い、ただただ
肩を震わして泣く雪姫。
そんな、雪姫を初めてみた家康は
雪姫の手を顔から離し
両手で頬を包み雪姫の顔を上げた。

雪姫が顔をあげると
翡翠色の瞳が、優しい光を
湛えながら真っ直ぐ自分に
向けられていた。

自分だけに向けられた
その真っ直ぐな瞳から目が離せず
涙で潤んだ瞳でただ
見つめ返す雪姫。

・・・気がついた時には

家康の唇が自分の唇に触れていた・・・


目を見開き一瞬、何が起きたのか
分からず、驚いた雪姫の
涙は勝手に止まった。
それからまた、雪姫の顔を自分の
胸に押し当てるように抱き寄せた。

『あんた泣きすぎ、寒いし
そろそろ帰るよ』

雪姫は、家康の胸に顔を押し当てたまま
着物を掴みコクッと頷いた。

帰ろうと、歩き出そうとした時
右足に激痛が走り『いっっ』そう言って
右足首に手を当てしゃがみ込んでしまった。
捻挫した足で逃げようと走った
ので腫れは、更に酷くなっていた。

雪姫の足首をみた家康は
『やっぱ、あんた無茶しすぎ』
と、背負ってくれようとしたが

『だ、大丈夫です、頑張れば
歩けます』と言う雪姫に
『ハッー』と小さなため息をつき
『前にも言ったよね、大丈夫か
そうでないかは、俺が判断するって』

『早くして、寒いし、さっさと
帰りたいから』と雪姫の手を自分の
肩ごしに掴み、雪姫を背負った。

『すみません、重いと思います』と
消え入りそうな声で答えた雪姫。

『はっ?俺の体力見くびらないでくれる?』
(こんな、軽いくせに、何言ってんの)
と言うと、軽々と土手を駆け上がり
城へ向かって歩きだした。










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