第7章 〜それぞれの自覚〜
雪姫は、建物上手く利用し
身を潜めたりしながら
何とか男達を巻こうと必死だった。
しかし、栞達を見張っていた方の
男達も、栞達を見失ったことで
雪姫だけでも捕まえようと
集まってきていた。
そして、見つかった。
『いたぞー!』の声に
また必死に走った。
栞達から男らを遠ざける為には
城から離れるように逃げるしか
なかった。人混みに紛れるように
しながら、城下の外れへと向った。
建物もまばらになって行く中
運が悪い事に雨が降り出し
どんどん人もまばらになって
雪姫の姿は、とうとう男達に
捉えられてしまった。
城下の外れの橋の前まできた時
草履の鼻緒が切れてしまい
バランスを崩した雪姫は
土手を滑り落ちてしまった。
急に視界から雪姫の姿が消えたので
男達は、手分けして探し始めた。
雪姫は、橋桁の下にまわり橋脚に付近に
身を隠して鼻緒の切れた草履を脱いだ。
どうやら鼻緒が切れたときに
足を捻ったようで、右の足首が
みるみる腫れ上がっていた。
(きっとこれだと、もう走れない
見つかったら、その時は・・・)と
胸から取り出した、懐刀をぎゅっと
握りしめた。
一方、武将の中で誰よりも青ざめ
怒りをあらわにしながら、雪姫を
探していた家康。
走り続けながら(考えろ、考えろ
雪姫ならどうするか、どう動くか・・
自分が囮りになると決めたなら
きっと栞達とは、反対方向に逃げる
はず)と家康は、城下の外れへと
急いだ。
(頼む!無事でいてくれ、あんな思いは
二度としたくない。頼む!)と懇願
するように、走り続けた。
橋の橋脚の下で身を潜めていたが
雪姫だったが、とうとう
一人の男に見つかってしまった。
『散々、手こずらせやがって』と
ゆっくりと近づいてきた。
雪姫は、右足を引きずりながら
少しずつ、後ずさりし
滑りおちてきた、土手の方へと
向った。
男は、獲物でも追い詰めるように
ゆっくり近づいてきて、雪姫に手を
伸ばしたが、雪姫は
『これ以上、私に近づくでない!!』
と、懐刀を構えた。
『おいおい、そんな、懐刀ごときで
何とかなるとでも思ってんのか?!』