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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第6章 〜二人の姫君〜


そして、宴は始まった。

皆、席に着いて栞の登場を今か今かと
と待ちわびていた。

雪姫が信長の右隣に着席すると
栞を呼び寄せた。

栞は、一ヶ月の急ごしらえとはいえ
雪姫に見劣りすることのない所作で
登場した。

武将達は、目を見張り栞の変貌振りに
驚いた。各大名からは、『おぉ〜』と
静かな歓声が上がった。
信長は、この上なく満足そうな
笑みを浮かべている。

栞は、信長の左隣りに座ると
深々と頭を下げ、
『栞と申します。この度は私の為に
このような華やかな宴を催して
頂きましたこと、深く御礼申し上げます。
どうぞ今後とも、お見知りおき下さい
ますよう宜しくお願い申し上げます。』

と、顔上げ、にこりと微笑むと
大名達からは、今度はどよめきが
起こった。

宴は、大いに盛り上がっていった。

そして、恒例の大名達の噂話が始まった。

ーーいや〜、雪姫様も栞様も甲乙つけ
難いほど、どちらも美しい姫君ですなぁーー

ーーまるで、姉妹のようじゃのうーー

ーーしかしですよ、どちらがご正室に
なられるのでしょうかーー

ーーそれはやはり、雪姫様では
ございませぬかーー

ーーでは、栞様はご側室に
なられるのかのう?ーー

ーーどちらにしても、信長様が
羨ましい限りじゃーー

相変わらず、雪姫のご正室候補説
の噂は根強く、それを聞くと
また眉間にシワがより
モヤモヤし、不機嫌になる家康。

何より、悔しかったのは、雪姫の
表情を引き出しのが、自分では
なく栞だったこと。栞に対し
少なからずのライバル心を
燃やしていたのだった。

宴もたけなわになった頃
雪姫と栞は、琴の連弾を披露した。
音数の少ない主旋律を栞が奏で
栞の主旋律を華やかに引き立たせる
ように雪姫は、副旋律を奏でた。

伸びやかに、軽やかに響く琴の音は
春の麗らかな空に響き渡り
聞くものを虜にし、演奏後は
大名達から賛美の声が上がった。

こうして、名残惜しい空気の中
無事、宴はお開きとなり
各大名達は、満足そうに帰っていった。

そして夜になると
今度は、家臣を集め内輪でのお披露目
の宴が開かれた。

家臣達は、鬼教官の雪姫の指導を
受け、健気に頑張る栞の姿を
毎日、目にしていたので、とっくに
栞を織田家の姫君として、認めいた。

皆に受け入れられ、歓迎され
栞は、嬉しくて涙が出た。












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