第6章 〜二人の姫君〜
体力的には、ヘロヘロな栞だったが
気持ち的には、武将達の憐れみをよそに
充実していた。
雪姫は確かに厳しかったが
上手くできた時は、手放しで
褒めてくれた。
努力する事で結果を得て、それを
憧れの雪姫に、褒めてもらえる
達成感は、この上ない充実感を
与えてくれて、毎日がキツイけど
それ以上に楽しくて仕方なかった。
雪姫は、栞に最良の教育を施す為
読心術(心理学)は、光秀に
社会情勢は、秀吉に
料理は、政宗に
字の読み書きは、三成に
弓道、馬術は、家康に
各論講師としてお願いをしてくれていた。
読心術は、素直で、正直すぎる栞には不向きで
流石の光秀もお手上げで、頭を抱えさせた。
織田家の勢力分布、敵味方の大名、今後の
情勢などは、秀吉が教えてくれたが
歴史が苦手な栞は、これも
なんとなーくしか理解は
できなかった。
料理は、栞自身、専門学校時代から
一人暮らしで自炊していたので
ある程度は、問題なくできた。
読み書きは、三成の
天使のような微笑に集中を
削がれてしまうことに苦戦したが
何とか短いものなら読み書き
できるようになった。
弓道と馬術は、家康が別の任務で
忙しく、課題として残ったままだった。
雪姫の弓の腕前もなかなかだったが
やはり一流の方に手解きを受けた方が
いいと言う判断で機会を待つ事にした。
裁縫に関してだけは、雪姫も舌を巻く
腕前で、雪姫から『栞様、今度は是非
私に裁縫を教えて下さいませ』と
お願いされた。
栞は、『分かりました。裁縫に関しては
私もちょっと厳しいですよ』とおどけて
答えた。
そして、一ヶ月が経過し
いよいよ、栞のお披露目会が行われる
事になった。