第6章 〜二人の姫君〜
佐助の存在を知り、未来へ帰る
一縷の望みを手に入れた栞は
ホッとして、いつの間にか眠りに
落ちていた。
次の朝、栞はある決意をしていた
ワームホールが出現するまで
あと3ヶ月。
その間、居候のように過ごすわけには
行かない、何でもいい私にできることが
あるなら、それをやって過ごしたいと。
その事を雪姫に朝餉を一緒に
とりながら、相談してみた。
『栞様は、大事なお客様です。
お客様に、下働きなどさせる
わけには参りません』と、
困った顔をしていたが、
『お願い、雪姫さん!私、居候なんていやなの
私にできること、やれることがあるなら
何でもいいから、自分の為にやって
みたいの!!』と一歩も引かず懇願した。
根負けした雪姫は、栞とともに
信長のところに許しを貰いに行った。
天守閣に到着し、襖の前で雪姫が
声をかけた。
『信長様、お忙しいところ申し訳
ございません。お話したいことが
ございます。お時間を頂きたいのですが
今、宜しいでしょうか?』
『雪姫か、入るがよい。』
『ありがとうございます。失礼いたします』
と言って、美しい所作で襖をあけると
栞と共に部屋入った。
『なんだ、貴様も一緒だったのか
で、話とはなんだ?』
『はい、信長様、お願いがあります。
私に何か仕事を下さい!!お願いします』と栞
何の前触れもなく、唐突な願いに
信長は、若干、呆気に取られた。
そして、上から見下ろすように
『何故、仕事がしたい?貴様はわしの
命を救った奴ぞ!大手を振って
城の者を顎でこき使えば良いではないか?』
と揶揄い混じりで言った。
『それでは、私の気が済まないんです
人様の家に居候なんて、心苦しくて
息がつまるんです!だからお願いします
私に、何か手伝わせて下さい!』
信長は、手を顎にあて少し考えた。
すると、何か思いついたように
意地悪そうな笑みを浮かべ
『あい、分かった。これより貴様が
立派な姫となるように、雪姫に
みっちり指導を受けるがよい。
それが貴様に与えてやる仕事じゃ』
(えっ?何か方向性ちがわない?)
『ん?どうした、何か不服か?』
『あっ、いやなんでも・・・分かりました。
ありがとうございます。』
(自分が思ってたのと違うけど
何もさせて、貰えないよりは
まっ、いっか)と気持ちを
切り替えることにした。