第6章 〜二人の姫君〜
『ワームホールに吸い込まれて行く
君を引き戻そうと手を伸ばしたけど
間に合わなかった。
その時、僕も一緒に吸い込まれて
しまって、僕の方は、今から4年前の
時間に飛ばされてしまったんだ。
それからは一緒に吸い込まれた君
を探しながらワームホールの
観測も続けてきた。
本来、本能寺の変で死ぬはず
だった織田信長が、生きてると
知って、君が関わっているに
違いないと直感した。
それで、秘密裏に安土城を調査してたら
君がここに連れてこられた。
本当に会えてよかった。
必ず君を元の世界に戻すよ。
それが君を巻き込んでしまった
僕の責任だから
信じて待ってて欲しい。
予測では、3ヶ月後にまた
ワームホールが開く。
それで元の世界に戻れるはずだ。』
と、一気に語った。
佐助君の真剣な目を見れば
嘘など言っていないことは
分かったし、何より自分がいた現代
と同じ時代から来た人がいると
言うだけで、心強くて涙が出た。
『ありがとう、佐助君
4年もこの時代で生き伸びる
のは、大変だったはずなのに
私を、探してくれてたなんて
本当に嬉しい。会えて凄く心強い。
なんとか、元の世界に戻れるまでの
3ヶ月を頑張って生きぬくよ!』
『うん。頑張って。
僕の方は、この時代を気に入って
それなりに楽しんで
過ごしてるから大丈夫。
君も後3ヶ月の間は、
安土城にそのまま留まって
いた方が安全だと思う。
また、時々、報告に来るから。
心配しないで、待ってて!』
『うん!わかった。』
『じゃ、また』と言うと
風のように姿を消した。
佐助君、忍者みたい・・・