第6章 〜二人の姫君〜
一方、雪姫の強さに憧れて
前向きにこの時代に向き合うと決めた栞。
丸一日眠りこけ、雪姫と一緒に夕餉を
楽しく、しっかり食べ、お風呂にも
入らせてもらって、着物も用意してもらって
至れりつくせりで、雪姫さんにおやすみと言って
布団に入っては、みたものの・・・
右にゴロン・・左にゴロン・・また右にゴロン・・・
がばっ!!(やっぱり眠れなーい!!)と
起き上がる。
そりゃそうですよ、丸一日寝た後じゃ。
はっー、暗い部屋で一人で考えてると
この時代と向き合うって決めたのに
後から後から、不安が湧いてくる
どうしよーと、今度はバサっと
仰向けで寝転がり、ただ天井を見上げた。
すると、天井板がカタッと動いた
気がした。(動いた?なんで?まさか
ネズミとか?)そう思ったら不意に
怖くなり、布団を頭からすっぽり被った。
(昔だもんね、屋根裏にネズミとかいっぱい
いるよねたぶん。)と考えていると
また、カタカタッと小さな音がして
その後、小さくスタッと何が床に着いた音がした。
(ネズミが落ちてきた?もし、そうなら
何とかして、追い払わないとますます
眠れなくなる)と恐る恐る布団から
顔を出すと『!!』目の前に男が立っていた。
びっくりして、目を見開き、(きゃー!!)
と叫んだが口を塞がれ、誰かに気づいて
もらうには小さ過ぎた。
すると男は、口に人差し指をあて『シー』
と言う仕草をして、小声で話始めた。
『栞さんですよね?』
『この時代に来る前、本能寺跡地の石碑の
ところで、男とすれ違い様に落雷に
あいましたよね?』
(この時代に来る?本能寺跡地の石碑?男?
と、タイムスリップ直前の記憶を辿り男を見た。
栞は、口を塞がれたまま、あー!と指差し
コクコクと頷き、口を塞いでいた手を
どけてもらった。
『貴方は、あの時雷雨の中、石碑の前に
立ってた人ですよね』
『思い出してくれましたか。申し遅れました
僕は、佐助と言います。僕は大学で
ワームホールについて、研究していました。
ワームホールとは、時空を超えて繋がる
トンネルみたいなものです。
あの日、あの場所に出現すると計測結果が
出たので観測するために、あそこで
待っていたのです。丁度、石碑の真上に
出現するはずだったのですが、予測より
少しズレて、栞さんの頭上に開いてしまった。』