第5章 〜未来から来た姫君〜
自分のことが、会議の議題になって
いたなど知る由もなく、一度に色んなことが
身に降りかかった疲れが、どっと出たのか
懇々と眠り続けていた栞。
その間、雪姫は片時も離れず
見守っていた。
そして、
『んっー、』とよく眠ったとばかりに
伸びをしながら栞は目覚めた。
『お目覚めに、なられましたか?』
とあの優しげな声がした。
『あっ、雪姫さん、お陰様で
ぐっすり眠れました。』
と言いながら、ゆっくりと
起き上がってみたが
眩暈もすっかり消えていた。
『それは、ようございました。
お顔の色も戻られましたし
安心致しました。』と言って
さりげなく栞の肩に羽織をかけた。
(あぁ、やっぱり、雪姫さんは
凄く優しい人だわー)と
かけて貰った羽織の襟を胸で合わせる
ようにし掴みながら、しみじみと思う栞。
普段以上に、スッキリとした目覚めの
気分に、ふと、自分がどれくらい
眠っていたのかが気になって、聞いてみた。
『雪姫さん、ところで私は、どれくらい
眠ってました?』と尋ねた。
雪姫は、
『きっと、とても、お疲れだったので
ございましょう。丸一日、お眠りに
なられてましたよ。』
(丸一日!!)栞は、驚いた。
(見も知らない、人様の家で丸一日寝てた
って、どんだけよ、私)と、頭を抱えた。
『雪姫さん、もしかして、ずっと私の側に
ついててくれたんですか?』と尋ねると
『あっ、はい。心配でしたし
お側にいると、お約束もいたしましたから』
と、当たり前の様に答えた。