第5章 〜未来から来た姫君〜
栞自身、信じられなかったが
でも、そうとしか考えられなかった。
それで、自信無さげに
『私は・・たぶん、五百年くらい
先の未来から、来た?者で?・・』と
と自分で言いながら、自分が首を傾げた。
栞の顎から手を離すと
『貴様、何を呆けた事を申しておる。
おかしな奴だ。
たが、面白い気に入った!』
『しかし、それにしても、妙な
格好をした女だなぁ』と上から
下まで、舐めるように見ながら
それでいて、人を見透かすような
視線を送ってくる男。
『光秀、そんなにジロジロ
見てやるな、怯えているではないか』
と信長。
(えっ、光秀って、あの明智光秀?)
『呆け者でも、うつけ者でも、まぁよい。
貴様は、わしに運を運んできた。
わしの命を救ったのは、事実じゃ。
この先も幸運を呼び込むやも
知れぬから、この女を
城へ連れ帰ることとする』
そう言ってニヤリとした。
へっ?そんな勝手なこと、と抗議
しようとした時
『しかし、信長様、こんなどこの
馬の骨とも分からぬ輩を連れ帰る
のは危険です。敵の間者かも
知れないですし』と猛反対する男。
『煩い、秀吉。わしがそうすると
決めことじゃ!わしの
命令は、絶対じゃ!』と
ピシャリと意見を撥ね付けた。
(えぇー、んでもって、この人が秀吉?
あの豊臣秀吉?、あぁ、やっぱりダメだ
頭がパンクしそう。
あれ?おかしい、
景色が歪んでいく・・
気持ち・わる・い・・
あぁ・・そうか・・これきっと夢だ。
絶対・・そうだ・・
目が覚めたら・・・きっと・・
元に戻って・・る・・はず・・・)
そう思いながら栞は、意識が遠くなり
その場に倒れた。
『おい!貴様、しっかりしろ!』
『三成、すぐ馬をもてい!』
『はっ、ただ今』
そんな会話が遠くで、うっすら聞こえたあと
ふわりと身体が、宙に浮いた。
(あぁ、何か、あった・か・・い・・)
そこで、栞は完全に意識を失った。