第4章 〜再会〜
『あんたら、何してんの?』
『あっ、家康様!いらしてたのですか?』
その声で、雪姫も家康に気づいた。
『家康様、ご無沙汰をしております』
そう言って、深々と一礼した。
『ひ、久しぶり』
お互いをあえて、遠ざけあっていた二人
対面するのは、かなり久しぶりだった。
『ちょっと、三成借りてく』
『はい、どうぞ』と雪姫。
『兵法で何かおススメある?』
三成は、驚いた。三成自身が
嫌がる家康を華麗にスルーして
本を押し売りすることは日常茶飯
だったが、家康から本選びを
頼まれる事など皆無だった。
三成は、目を輝かせ『お任せ下さい!』
と、俄然、張り切りだした。
『えっーとですね、これと、あれと
あぁ、これも捨てがたいですねー』と
どんどん、抱えた本が山の様に増えていく。
『いや、別にそんな要らないし』と家康。
動機が二人を引き離したかっただけで
それを達成した今、本なんて
どうでも良かった。
(あー、やっぱめんどくさいことした)と
後悔していると
『きゃっ!』という、小さな叫び声とともに
バサバサバサと、本が落ちる音がした。
慌てて雪姫の元へ向かった家康と三成。
『おい!大丈夫か』
『雪姫様!如何されました。』
同時に声をかける二人。
見ると、散らばった本と、尻餅を
ついている雪姫。
『大丈夫です。本を戻そうと思いましたら
ちょっと届かなくて、無理におしこもうと
したら、他の本が落ちてきただけですから』
と、立ち上がろうと、手に力を入れた
途端、『ぃたっっ』と苦悶の表情をした。
痛む手首を、反対の手で掴み自分の
胸の前に持ってきた。
『はっ!お怪我されたのですか!』
と、駆け寄ろうとした三成の腕を
掴み、制止し
『俺が、診るから、本の片付けして』
と家康。
心配そう見送る三成に雪姫は
後片付けをおしつけてしまうことを
詫び一礼して、家康の部屋へ向かった。