第4章 〜再会〜
しかし、その瞬間、時が止まったのは
家康よりも両家家臣達だった。
驚きのあまり、心の中で
(ゆ、雪姫様が、笑った!!)
と、一斉に呟いた。
それからは、大騒ぎ。
雪姫の笑み見たさに
酌をして欲しいと家臣達が
雪姫を囲むようにどっと押し寄せ
たのだった。
信長は、脇息にもたれながら
(ほう、何かに気づいたか・・・
それとも、無意識か・・・
しかし、わしと千草にさえ
これまで、数回しか見せた事のない
笑みを、家康にのう・・
しかも、笑み一つで両家家臣の
心を鷲掴みとは、恐れいったわ)
愉快そうに、ニヤリとした。
雪姫のお陰で、宴は盛大に
盛り上がり、織田家と徳川家の
親睦は深まっていったのだった。
宴も終わり、余韻の残る中、ひとり
月明かり下で酒を飲む信長。
(鷹山よ、やはり貴様の先を見る目は
確かであったな・・)と、鷹山に語りかけ
月を見上げたのだった。