第4章 〜再会〜
自分の心が騒つく理由がわからないが
雪姫に何故か引っかかりを感じる。
けれど、どうしてなのか
どんなに考えても、やっぱり分からない。
悶々と、堂々巡りの考えごとをしていた
家康は不覚にも雪姫が隣にいると
気づいたのは、雪姫が隣に座った後だった。
そして、突然、隣に雪姫がいることに
驚いた家康は、一瞬、後ろに仰け反った。
それを見た雪姫は
『驚かせてしまい、申し訳ございません』
と謝った。
そして、『もし、よろしければ』と
徳利を持ち上げた。
家康は、平静を装い『・・・別に』と
盃を空にし、雪姫の酌を受けた。
徳利を傾ける、雪姫の手は透き
通るように白く、きめ細かく
綺麗だった。
そこから、誘われるように視線を
あげていった時、不意に雪姫と目があった。
瞬間、ドキっとした。そして自分の顔が
(//かぁっ///)と熱くなるのを感じた。
焦った家康は、それを隠すように
口元に手の甲をあてながら
慌てて目を逸らし、俯いた。
そして、無愛想に『どーも』と言って
注がれた酒を一気に飲み干す。
しかし、心臓は、自分の口から
飛び出すかのように高鳴る。
そんな状態で、雪姫を直視できる筈もなく
何処を見たら良いのかと、視線は定まらず
ひたすら目が泳ぐ家康。
猫っ毛と長い睫毛に隠されてはいるが
雪姫だけには、それが分かった。
雪姫にはそんな家康が子猫のように
愛らしく見えて、仕方なかった。
雪姫がおもむろに着物で口元を抑えた
かと思ったら、突然、『クスッ』と笑った。
瞬きしたら、見逃してしまう
ほどの一瞬の笑み。
家康は、雪姫を見つめ
大きく目を見開き、息を呑んだ。
そして、唇だけで『桜奈』と
愛しい人の名を無意識に呼んでいた。