第4章 〜再会〜
しかし、雪姫の美しさと
その噂話を酒の肴に
両家の家臣達の懇親は深まっていった。
聞くつもりはなかったが、耳に
入ってきただけだと、訳の分からぬ
言い訳を自分にしながら噂話に
耳を傾けていた家康だった。
だが信長様の正室候補と聞いて
また心が騒ついた。
何故だか分からない。
でも、雪姫が気になって仕方なかった。
その様子を雪姫の酌をうけながら
愉快そうに見ていた信長だが
(どれ、一つ揶揄ってやるか)と
雪姫の肩を抱き寄せ、耳打ちした。
その様子に、一瞬目を見開き
睨む様な視線を送った家康。
しかし、すぐさま何も
見なかったように、視線を外し俯いた。
(正室候補ね、別に、どうでもいい)
そう思う事で、騒つく心を
押さえようと必死だった。
そんな家康の様子に
もう限界だと肩を震わし
笑いを堪える光秀。
やれやれと、苦笑いしかでてこない
秀吉と政宗。
皆が何を面白がっているのか
さっぱりわからない三成。
千草以外に、家康と桜奈の
関係を知っているのは
この者達だけだった。
信長に肩を抱き寄せられ
表情には出さないが、少し
驚いた雪姫。
信長から、家康に酌をするよう
耳打ちされた。
大事な、客人だから
しっかり、もてなして来いと
指示されたのだった。
分かりましたと、スッと立ち上がり
家康の元へと向かった。