第4章 〜再会〜
時は流れ、桜奈は目を見張るような
美しい姫君に成長を遂げていた。
容姿の美しさだけでなく
その一つ一つの所作の美しさは
城内でも評判だった。
しかしその反面、人形のような
無表情さと、深い悲しみをたたえ
光を映さぬ瞳と目があった者は
まるでこの世の者でない者を
見たかのようにゾクっと
する悪寒さえ感じた。
透き通る白肌と触れれば
あっと言う間に溶けて消えて
しまいそうな儚く冷たい
雰囲気は、まるで雪のようだと
噂は広がり、いつの間にか
『雪姫』と呼ばれるように
なっていた。
桜奈もその名で通して頂く
ようにと、信長に願い出ていた。
『桜奈』と呼ばれると
何故か、胸を刃物で抉られるような
痛みで苦しくなるからと。
そんな桜奈を憐れむように
見つめる信長だった。
そして、今日この日
再び二人の運命は動きだした。
お互い名が変わり
それぞれ、自分の最愛の
想い人だと知る由もなく
家康と桜奈は再会を果たした
のだった。
再会の場面を観察していた
光秀は、その時の一部始終を
信長に報告した。
『ほほ〜、やはり興味を示したか』と
信長もニヤリと不敵な笑みを
浮かべた。
広間に到着した、家康一行。
信長との会見を滞りなく終えて
同盟は結ばれた。
その祝いにと、宴が開かれた。