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《イケメン戦国》初恋〜運命の赤い糸〜

第15章 〜結実〜


鷹介と千里は、千里のみた夢が
正夢になるような不安があった。

何故なら、鷹介の実家には
佐助が書き留めた、沢山の古文書が
残っており、信長の正室となった女性が
時を超えて戦乱の世にやってきたと
記されていたからだった。
名前は、栞様。
鷹介は、幼い頃にその古文書に夢中になり
佐助と同じく、時間と空間を超える
ワームホールの研究者を目指して
いたのだ。

千里は、大学を休学する事にした。
双方の両親は、学生結婚には散々
反対したが、二人の意思は固く
許してやるしかなかった。許しを
出した時点でこういう可能生もあると
想定し若い二人に理解を示した。

栞が生まれた時、名前は、これからも
沢山お世話になるからと双方の両親に
相談してつけてもらう事になった。
鷹介は、はっきりとした理由は
言わなかったが古文書に名があった
『栞』はできれば避けて欲しいとお願いした。
しかし、それが逆効果だった。栞と言う名が
返って両親達に、強く印象に残り
『栞でいいじゃないか』となってしまった。

散々、わがままを言ってきた手前
鷹介と千里は受けいれるしかなかった。
同時に、そうなる運命だったと言われている
ようで、千里の見た夢が正夢になる予感は
二人の間で日増しに募っていった。

『名前まで、同じになってしまいましたね』
『ああ、抗えない運命なのかもな・・・』

もし、正夢になってしまうなら栞とは
20年しか、一緒にいられない。
千里は、生まれたばかりの栞を見つめ
悲嘆に暮れた。
だが鷹介は、限られた時間なら
尚更、愛情を注いで育てようと
学生の立場で、寝る暇もないほど
忙しい中、千里を懸命に支えた。

そんな鷹介に励まされるように
千里も目一杯の愛情を栞に注いで
育てたのだった。

大きな病気も怪我もなく、両家にとっては
初孫までもあった栞は、天使爛漫で
優しい愛くるしい女性へと成長した。

そして、卒業旅行に出かけたまま
忽然と姿を消したのが3ヶ月前の事。

鷹介と千里には、栞が消えた理由が
分かっていた。
鷹介は、大学教授になりワームホールの
研究を続けていたが、栞が行方不明に
なった日ワームホールが京都で観測されたのは
確認されていた。そして、同じ日に
ワームホールの研究をしていた優秀な学生が
1人、行方不明になった事は、ワームホールの
研究者の間でちょっとした噂になっていた。
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