第15章 〜結実〜
ーーー少し時間を遡るーーー
プルルルル
プルルルル
『もしもし』
『もしもし、上杉栞さんのお宅でしょうか』
『はい、そうですが』
『こちら、京都警察署ですが
栞さんが置き忘れたと思われる
荷物をお預かりしてまして、お預かり
期間は、半年となりますので
それまでに、引き取りに来て下さい』
『えっ?栞の荷物ですか?』(なぜ?)
『はい、そうです。』
『あの、本人は今ちょっと不在で
暫く戻れないのですが家族が引き取りに
言っても構いませんか?』
『あっはい、大丈夫ですよ。ご家族と
証明できるものをお持ち下さい』
『わかりました、ご連絡ありがとう
ございました。』ガチャ。
(栞の・・・荷物?)
『鷹介さん、大変、栞の荷物が見つかったって』
『えっ、本当に?』
『ええ、たった今、京都警察署から
電話があったの、栞、もしかして
こっちの世界にいるのかしら?』
『とりあえず、僕が荷物を受け取りに
行ってくる、君は大事な時期だから
お腹の子に触るといけないからね』
『分かりました。留守番してますね』
とお腹に手をそっと添えた栞の母。
栞の父は、上杉鷹介
佐助の末裔に当たる人物だ。
佐助は、生涯独身だった謙信と
養子縁組をし家督を継いだのだった。
そして、栞の母、千里
実家は、六天大魔王を祀る神社だった。
幼い頃から巫女として、家を手伝っていたが
千里には少し不思議な力があった。
栞の両親は、高校の同級生として初めて出会い
お互い一目みて『この人だ』と直感した。
一目惚れだった。
二人は、高校を卒業し、それぞれ
大学に進学したが、ずっと一緒に
居たい気持ちが強くて、両親を
説得し、学生結婚した。
結婚して、半年もたたない頃
千里は夢をみた。
『その腹の子が二十歳になった時
我が元へ貰い受ける』と声がした
姿はぼんやりしてハッキリとは
見えなかったが、赤く燃える様な
緋色の瞳だけが栞の母の脳裏に焼きつき
ハッと目が覚めた。
(腹の子って言ってたけど・・・)
目覚めてすぐに鷹介に話した。
まさかと思い、産婦人科を受診すると
まだ、5週目で産科の先生からは
『こんな早く、よく妊娠に気づきましたね。
まだ、心臓も確認できないですよ』
と言われたのだった。