第15章 〜結実〜
そう、自分で言った家康は
初めて桜奈にあった日を
有り有りと思い出していた。
花の様に笑う子だと思った。
(俺は、五歳にして桜奈に
一目惚れしたんだな)と、クスクス
思い出し笑いをした
『?』キョトンとした顔で家康を
見つめる桜奈。
『いや、何でもない。桜奈が
可愛いくて仕方ないって思っただけ』
そう言われ、また恥ずかしそうに
顔を赤くする桜奈。
『ほら、やっぱり可愛い』と家康。
もう、それ以上言わないでと言うように
両手で顔を覆い、真っ赤になる桜奈。
『それも、可愛い』
もう、無理と言うように
ふるふると微かに首を振る桜奈
(///だって、全部、可愛いから仕方ない///)
家康は、桜奈の手掴み顔から外し
覗き込むと、桜奈は耳まで真っ赤にしながら
私を見ないでと言うように俯き
視線を逸らす桜奈。
瞳が長い睫毛に隠される。
恥ずかしがる桜奈に追い討ちをかける
ように、クスっと笑うと
『耳まで真っ赤だよ、桜奈可愛い』
と耳元で囁く家康。
(///もう〜無理〜///)
桜奈の反応が可愛いくて
もっと、可愛い桜奈見たさに
揶揄い半分で、家康は楽しんでいた。
『もうー!それ以上言われたら
ドキドキし過ぎて、桜奈の心臓が
止まってしまいますー!』と、目をぎゅっと
瞑り訴える桜奈。
家康はクスクス笑うと
(///やっぱり敵わないや
俺のお姫様、最強///)
家康は、堪えきれず、桜奈の唇を奪った。
(最強の姫が側にいれば俺は無敵だな!!
桜奈、一生離さない。)
そして、想いは言葉となって溢れた。
『桜奈、愛してる。』
その言葉に、桜奈は
潤んだ瞳で家康を真っ直ぐ見つめると
『私も家康様を愛しております』
そう言うと、幸せそうに
満面の笑みを家康に向けた。
家康には、花が咲いたように見えた。
初めて出会ったあの日のように・・・。
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身も心も固く結ばれた、二人組みの夫婦は
この後もその想いが色褪せることは
生涯なかった。
愛しい妻に支えられ
泰平の世の礎となった信長と家康は
その名を歴史に刻んだのだった。