第15章 〜結実〜
一方、こちらもめでたく初夜を
迎えたはずの家康と桜奈。
今夜は目一杯桜奈を甘やかす
つもりでいた家康。ところが
(何で、こんな事になってるんだ?トホホ)
と、半泣きで碁石を手に持ち思っていた。
桜奈が初夜を迎える気恥ずかしさから
気を紛らわす為にまたもや
囲碁の対局を持ちかけたのだった。
碁盤を挟み、真剣な表情の桜奈。
今すぐにでも、押し倒したい衝動に
苦悶する家康。
勝負を始める前、負けた方が
勝った方へご褒美を与える約束をしたので
家康は、ご褒美目当てで我慢していた。
しかし、桜奈の腕前もなかなかで
勝敗がつかない状態だった。
後、一手か二手で家康の勝ちは
見えていたが、それより前に家康の
限界の方が早かった。
碁石を置こうとする桜奈の手を
引き寄せると、桜奈の頭に手を添え
口付けした。
『んっ・・家康様、まだ、勝負・・が』
と言いかける桜奈に、『俺の負け』
とお互いを弄るような口付けを交わす。
そのまま家康は、桜奈を抱きかかえ
自分の膝に座らせると、口付けしながら
桜奈の寝間着に手を入れた。
はだけた寝間着から華奢な肩と綺麗な鎖骨が
露わになる。首筋からなぞるように
肩へ胸へと唇を、這わせた。
『はぁ・・』『んっ・・』と時折漏れる
桜奈の吐息に応えるように
『桜奈、可愛い、綺麗だ』と囁く家康。
そのまま、布団へと横になると
目と目が合う二人。
優しい翡翠色の瞳で
『今日の勝負は、桜奈の勝ちだから
ご褒美にいっぱい甘やかすよ、覚悟して』
とフッと笑う家康。
家康を蕩けるような表情で見つめ
瞳をウルウルさせ『はい』と頷く桜奈。
(//はっー、何でこんなに可愛いのさ//)
と思う家康の顔に桜奈の手が
スッと伸びて頬を包む。(//ドキッ//)
その手に誘われるように
家康は、桜奈に吸い寄せられた。
家康の前でしか咲くことのない
桜奈は、家康の甘い口付けの
雨を受け潤い、色づき、再び咲き乱れる。
花の蜜に誘われたミツバチのように
家康は桜奈の中に抱かれた。
このまま、溶けて無くなりそうな
ほど二人の甘美なひと時。
こうして家康と桜奈も
甘く幸せな、初夜を過ごした。